ワンオペ飛行機!ピンチと人の温かさ

( C’est une version japonaise de l’article « Le vol solo avec deux enfants ; le pétrin et la tendresse humaine».)

今回初めて、日本からドイツのフランクフルトへの飛行機に、3歳になったばかりの長女と、生後1ヶ月半の次女と3人で乗りました。精神的にも肉体的にも大変だった長旅でしたが、様々な人に助けられ、なんとか無事にフランスに帰国することができました。今回は、そんな大変だったけれど、人の温かさに触れられたワンオペ飛行機の体験を書いていこうと思います。

赤ちゃんの航空券が取れていない!その原因

これに関しては以前の記事でも触れましたが、当日の出国カウンターで手続きをする際に、赤ちゃんの航空券が取れていないことを知らされました。

https://japonaiseenalsace.com/2人目妊娠→夫の転職→里帰り出産→フランス帰 : ワンオペ飛行機!ピンチと人の温かさ

原因はというと、2度目の電話予約での手違いです。

電話は2度しました。1度目は、みみちゃんが生まれる前に、私とちっちの航空券を取る為。その時に、バシネット席の予約とバシネットの予約も済ませ(この席は、ネットでは購入できず、電話で予約する必要あり)、私たち2人の航空券代は、銀行振込で支払いました。この時に、赤ちゃんが生まれたら、もう一度電話をして、赤ちゃんの名前や生年月日などの情報を教えて下さいとのことでした。

2度目の電話は、みみちゃん誕生後。みみちゃんの情報を伝え、アルの席が私たちの隣に取れているかを確認しました。家族全員が隣に座れ、バシネット席もバシネットもしっかりと予約できたことに、大満足でした。そして、「これで全ての手続きが終わりました。」の言葉に、ほっとして電話を切りました。電話が繋がるまでに45分程待ったので、達成感で一杯でした。

しかし、落とし穴はここにありました。本来なら、赤ちゃんの航空券代(大人の航空券の10%)も支払わなければならなかったのですが、電話でその金額と、振り込む銀行口座の案内がなかったのです。おそらく私のように、赤ちゃんが生まれる前に大人の航空券を購入して(生まれてから赤ちゃんを紐付け)する人は珍しかったのだと思います。私自身もこんな状況は初めてのことで、お金を支払わなければならないということが頭からすっかり飛んでいました。国際線では、2歳までの子どもは実質無料ということも相まって、お金を支払うという意識が薄かったのもあると思います。

保安検査で手助けしてくれた家族

保安検査では上着を脱いだり、電子機器を出したりしなければいけません。赤ちゃんを前に抱き、自分とちっちの荷物も出さないといけなかったので、かなりバタバタとしていました。私のすぐ後ろにはお母さんと男の子(中学生くらい)と女の子(小学生くらい)の3人家族がいました。そして、私たちの大きな荷物を台の上に上げるのを手伝ってくれました。

私は、「人に迷惑をかけないように、一人で頑張るぞ!」と肩肘を張っていました。でも、きっと見るからに大変そうだったのでしょう。「お手伝いしましょうか。」などと声をかけることなく、さっと手を差し伸べて下さいました。子連れの一人旅の大変さを経験したお母さんなのかもしれません。こういったさりげない優しさに、ホロっとしてしまいました。

優先レーンに入れてもらえた

保安検査や出国手続きをなんとか終え、次に目指すは搭乗ゲート。しかし、私の時間の計算ミスで、優先搭乗までには間に合わなくなってしまいました。というのも、1人で待ち時間が多すぎるのも大変ということで、ギリギリまで、両親とゆっくりと過ごしていました。しかし、一人では十分な時間も、2人の子と一緒だと、全然足りませんでした。

しかも、搭乗ゲートまでは意外と遠く、3歳児の歩みに合わせながら歩いていると、中々進みません。それでも、機嫌を損ねられて癇癪を起こされては大変です。両手が塞がっていて、ちっちを抱っこし、ちっちの荷物を持つことは絶対にむりでした。とにかく、自分の足で歩いてくれるよう、周りの人たちを眺めては止まり、止まっては歩くちっち(人を観察するのが大好き)をおだてながら、なんとか歩みを進めました。

ようやく搭乗ゲートが見えてきた時に目に入ったのは、長蛇の列。その時はまだ、エコノミークラスの搭乗は始まっていませんでしたが、もうすでに多くの人が列を作っていました。肩に食い込むリュックの肩紐と抱っこ紐に、止まらない汗。優先搭乗に間に合わなかったのは、全部私の責任でした。しかし、ダメもとで、係の人にお願いしてみると、ビジネスクラスのレーンから中に入れてもらえることになりました。あの列に並ばずに済んだだけでも、かなり体力を温存できました。次こそは、早め早めに行動したいと思います。

その後、すぐにエコノミークラスの搭乗も始まったので、人がどんどん入ってきました。そんな人の波に乗りながら、大きなスーツケース(ストッケのジェットキッズ)を引きずって、えっちらおっちらと歩く3歳児。人の流れをかなり妨げていましたが、みなさん温かい目で見守ってくれました。しかし、そんな目線が、人見知りのちっちには脅威に映ったようです。お地蔵さんになってしまったちっちと私たちを抜いていってもらいながら、なんとか飛行機まで辿りつきました。

担当のCAさんに荷物を上げられそうに

ようやく座席に辿り着き、ホッとしたのも束の間。すぐに、担当のCAさんが挨拶に来てくださいました。そして「お荷物お上げしますね。」とすぐに荷物に手をかけてしまいました。赤ちゃんを抱いていて、荷物も多かったので、とても嬉しい提案だったのですが、手元に置いておきたい荷物もあったので、少し待っていただくことにしました。すると、私のせいでお仕事の流れを変えてしまったようで、少し困った表情をされました。そこで、大急ぎで必要なものを出して、大きな荷物を上に乗せてもらいました。

バタバタとしていましたが、とりあず、離陸前にちっちのミルクセットが出せてよかったです。(フランスの小児科の先生曰く、飲むのでればミルクは3歳まで続けていいということでした。その為、ちっちは毎晩寝る前にミルクを飲んでいて、飛行機でも飲みたいということで、耳抜きの為に準備しました。)他にも、ちょっとしたオモチャや絵本も出せたので、離陸までの時間を静かに過ごせました。

夫がキャンセルした席にもう別の人が!

私たちの席は、電話をしないと取れないバシネット(ベビーベッドを付けられる)席でした。みみちゃんの航空券を購入した際に、この席を家族全員分、電話で予約しました(電話が繋がるまでに45分も待ってようやく予約出来た席です)。結局アルは怪我のため、航空券をキャンセルしましたが、それは出発の2週間ほど前のこと。その為、1席分余裕があるつもりでいました。

しかし、この席にもう別の人がいました。それは白人の若い女の子で、私たちを見て、明らかに嫌そうな顔をしました。ツアーのお客さんのようだったのですが、バシネット席がそういう席だと知らされなかったのでしょうか。他にも空席がありました。この女の子の気持ちは良くわかりましたが、フライト中この若い女の子がずっと隣なのは、ストレスになるなと、気持ちが落ち込みました。一方この女の子はというと、よっぽど私たちの隣が嫌だったようで、ツアーの別の人に席を代わってもらっていました。

ということで、私たちの隣には、50代くらいの白人のおばさまが座ることになりました。「子ども大好き!」という感じの人ではありませんでしたが、「何かお手伝いが必要だったら、遠慮なく言ってね。赤ちゃん何歳なの?」と声をかけてくれました。常識的な人が来てくれたので、少し気持ちが軽くなりました。飛行中は、何度も席の前を通り、お邪魔をしてしまったにもかかわらず、降りる時には、「子ども達、静かにしていてお利口だったわよ。」とまで言ってくれました。

喉がカラカラなのに中々お水がもらえない

まだ暑かったにもかかわらず、かなり厚着をしていた私は、それだけで汗ばんでいました。その上、10キロ近いリュックを背負い、前には赤ちゃんを抱っこして、ちっちの荷物を持ちながら歩いていたので、もう汗だく。飛行機に乗る前から、喉はカラカラでした。厚着の理由は、10月下旬のフランスがかなり涼しかったことと、機内での温度調節用にでした。子どもたちの冬服や着替えはリュックになんとか入ったので、入らない私の服は、私自身が身につけました。

飛行機が離陸とすぐにまずはちっちの食事が運ばれてきました。その時に、担当のCAさんにお水をお願いしたのですが、私の食事と一緒に運ばれてくるとのことで、その場ではもらえませんでした。しかし、私の食事の時間と授乳がかぶってしまいました。その為、このCAさんが食事の時間を遅らせてくれましたが、その為お水もお預けとなってしまいました。隣の席のテーブルには食事が乗っていて外には出られず、でも、水だけの為にCAさんをお呼びするのは気が引けて、食後のコーヒーが運ばれてくるまで、喉の渇きをずっと我慢していました。

そしてやっと食後のコーヒーの時に、担当のCAさんがいらっしゃったので、喉の渇きに抗えず、水筒を出してお水をお願いしてしまいました。しかし他のお客さんもいる手前か、「ここでそれはできません。」ときっぱり断られてしまいました。これには、私の配慮のなさで、CAさんを困らせてしまったなと反省しました。水筒にこそ入れてもらえませんでしたが、それでも、コップ一杯のお水は貰えました。ここでやっと手にできたお水ですが、味わう間もなく、一瞬で飲み干してしまいました。もっと欲しかったのですが、先ほどの反省もあるので、担当CAさんがサービスを終えて近くを通る時をずっと待っていました。もしかしたら、気にかけて下さっていて、サービスが終わったら来て下さるかな、と淡い期待も抱いていましたが、そんなことはありませんでした。

もうこのまま待っていても、お水はもらえなさそうだったので、かなり躊躇いましたが、ボタンを押してCAさんを呼ぶことにしました。そこにいらっしゃったのは担当ではないCAさん。お水だけをお願いしたのですが、私が食事を取っていないことにも気づいて下さり、食事の提案もしてくださいました。ここで初めて、お腹も空いていたことに気づきました。喉の渇きで頭が一杯で、食事のことはすっかり忘れていました。そしてこのお食事で、やっとペットボトルのお水を手にすることができました。もちろん、このお水も一瞬で飲み干してしまいましたが。

空腹が満たされると、お水への執念は、より一層メラメラと燃え上がっていました。でも、もう一度CAさんをお呼びするのも気が引けたので、CAさんが近くを通るのをまだかまだかと待ち構えていました。食事はちっちのテーブルの上に乗せておき、いつでも立ち上がれる状態です。もうこの際、隣の人の前を通らなければならない迷惑など、二の次です。

そこへ1人のCAさんが通りかかり、ギャレー(お食事や飲み物を準備する所)に入っていきました。ちょっと怖そうなベテランCAさんだったのですが、そんなことを気にしている場合ではありません。早速水筒を持って、お水をもらいに行きました。授乳中で喉が凄く渇いていることをお伝えすると、快くお水を入れて下さいました。その後も、お水が足りているか気にかけて下さったり、子ども達を見ていて下さったりと、心遣いをして頂きました。この人情味のあるCAさんのおかげで、残りのフライトのストレスから少し解放されていきました。

オムツが足りないかも…

オムツはちっちには5枚、みみちゃんには10枚用意しました。もっと入れたくて、頑張って圧縮袋も使いましたが、リュックが閉まらなくて諦めました。というのも、心配性で寒がりの私はそもそも自分の荷物も多めなタイプ。その上、子ども2人分の予備も含めた荷物(2人分の冬服の着替えにブランケット、絵本にオモチャ、そして、もしもの時の食べ物や飲み物にミルクなど)を入れるとなると、リュックはすぐにパンパンです。

みみちゃんはというと、何の問題もありませんでした。おしっこもうんちも漏れることなく、オムツも余りました。

問題はちっちの方です。トイトレ中だったからなのか、少しオムツが濡れただけでも気になるようで、頻繁にオムツを替えたがりました。普段はこんなことがなかったので、オムツもあまり多めに用意しておらず、かなり困りました。そこで、トイレでのおしっこも提案しましたが、子供用の便座がない上に、知らない所では用を足したくなかったようで、頑なにオムツにおしっこをしました。そしてちょっとおしっこをすると、「オムツを替えて!」と言いました。こうやって5枚しかなかったオムツが、どんどんと減っていきました。

残りのオムツがあと2枚となった時に、まさかの新品のオムツにすぐにうんちをしてしまいました。そのオムツを替えると、「またうんちがでるかも。」とまで言い始めました。この時点で、まだ残りのフライト時間もあるのに、オムツがあと1枚しかありません。ダメもとで、CAさんにオムツの予備がないか聞いてみました。すると、サイズを聞かれ、オムツを2枚頂くことができました。最悪みみちゃんの小さいオムツで乗り切るつもりでいたので、本当に助かりました。

担当CAさんにバシネットが片付けられてしまった

着陸態勢に入る前にバシネットが片付けられることはわかっていたので、早めにまずはみみちゃんをトイレに連れて行きました。でも待てど暮せど、オムツ台の付いたトイレが空きません。他のトイレは空くので、私の後に来た人はどんどんといなくなりました。そこに担当のCAさんがやって来て、「あと20分くらいでバシネット片付けますね。」と一言。トイレ待ちでバシネットを使っていないのを見ると、「ちょっと早いですけど、バシネット片付けちゃいますね。」と、外してしまいました。

私の計算では、まずみみちゃんのオムツを替えて、みみちゃんをバシネットに寝かせる。その間に、ちっちのオムツを替えるというものでした。それが、ベッドを片付けられたことで出来なくなってしまいました。こんなにこのトイレが空かないなら、遠くのトイレに並ぶべきだったと後悔しました。

ここでトイレを待っている間に、さっきのベテランCAさんが声をかけてきてくださいました。この後のフライトのことなどを心配して、話しかけてくださったようです。そして、みみちゃんのオムツ替えが終わると、このベテランCAさんが席まで一緒に付いてきてくださり、「お姉ちゃんもおトイレ行く?」と聞いてくださったのです。もうちっちのオムツ替えを諦めていた私には、天の一声です。ちっちに確認すると「行きたい!」ということで、赤ちゃんを抱っこしていただくことにしました。これで、ちっちも私も、空港に着く前に、無事に用を足すことができました。

ベルト点灯中に荷物を降ろしてくださったCAさん

着陸態勢に入った飛行機は、無事フランクフルト空港に着陸しました。ベルトサインはまだ点灯中です。身動きがとれないので、荷物をちっちの席の余白に詰め込んで、いつでも立ち上がれるようにと準備していました。隣の人に迷惑がかかるのは承知で、いち早く荷物を上から取り出そうと、待ち構えていたのです。まず、荷物を上から取り出さないことには、荷造りも身支度もできないからです。以前、ちっちだけと飛行機に乗った時ですら、帰り支度に時間がかかり、一番最後なってしまっています。しかも、今回はもう一人増えました。とにかく、身支度に時間がかかることだけは分かりきっていたので、1秒も無駄に出来ない状況でした。

すると、そのベルトサインが点灯している間に、担当のCAさんとは全く関係のないCAさんが席に来てくださいました。そして、「お荷物降ろしますね。」と声をかけてくださいました。この待ち時間の間に、帰りの荷物をまとめられると、気を利かせてくださったのだと思います。本当に助かりました。そして、赤ちゃんをちっちの膝にのせ、バタバタと帰り支度をしていると、ベテランCAさんが様子を見に来てください、赤ちゃんの抱っこを持ちかけてくださいました。ちっちの支度もあったので、しっかりとお言葉に甘えさせていただきました。

ANAの職員さん、今回も本当にお世話になりました。

飛行機内では、多くのCAさんにお世話になりました。特にベテランCAさんは、私たちに気をかけてくださり、様々なお手伝いをしてくださいました。他にも、泣いている赤ちゃんの抱っこを提案してくださり、あやしてくださったCAさん。ベルトサイン点灯中に、荷物を下ろして下さったCAさん。機転を利かせて対応してくださったCAさんたちのおかげで、ストレスで一杯一杯だった私も、少しだけ肩の力を抜くことができました。

そして、このCAさん達の連携のおかげで、なんとか無事に長時間のフライトを乗り切る事ができました。

また、空港ではANAの地上スタッフの方が、荷物を取るのを手伝って下さり、出口の所まで運んで下さりました。ベテランCAさんが機転を利かせて、地上スタッフの方を呼んでくださったからです。もう本当にこのベテランCAさん様様です。

まとめ

子連れの私が隣だとわかって、明らかに嫌そうな顔をした隣の席の人。2度もお願いしたのに、結局水を持ってきてくれなかった担当CAさん。最初はこのフライトが地獄の13時間になると覚悟しました。

しかし、運が良いことに、たまたま声をお掛けしたのが、とても人情味のあるCAさんでした。そこから、段々と状況が良くなっていきました。担当以外のCAさん達が気にかけてくださるようになったのです。そうやって色々と助けていただきながら、無事に目的地まで到着しました。

この、日本からフランスへの子ども2人との旅で、本当に色々な人の温かさを感じました。人に迷惑をかけないようにと肩肘を張っていましたが、周りに助けを求めれば、それに応えてくれる人がたくさんいるのだと教えられました。もちろん、親としてでできることはやるのが大前提ですが、1人では手に負えなくなった時は、周りに頼ってもいい。周りに頼って助けてもらって、困っている人がいたら、今度は私がその人を助ける。そうやって親切の和が広がっていくのが理想の社会だなと思いました。






最後までお読みくださり、ありがとうございました。
クリックしていただけると、とても励みになります。

Laisser un commentaire

Votre adresse e-mail ne sera pas publiée. Les champs obligatoires sont indiqués avec *