(C’est une version japonaise de l’article « Grossesse et accouchement en France et au Japon (pendant le covid) ».)
フランスと日本では、出産・入院にも違いがあることがわかったので、今回はそれを書いていきたいと思います。あくまで、フランスでの私の出産経験と、日本での出産をした友人の話と私が調べたことなので、全体に当てはまらないこともあるかもしれませんがご了承下さい。
コロナ禍での大きな違いは、健診や出産・面会に、フランスは子供の父親も参加できるという点です。
目次 (Table des matières)
妊娠中の体重管理と妊婦健診
日本では、妊婦さんの体重管理が厳しいと聞きました。実際に体重が増えて過ぎてしまい、怒られたという友人もいます。
私はフランスで、産婦人科の先生や助産師さんから、体重の指導を一度も受けませんでした。妊娠糖尿病や妊娠高血圧のリスクについては、日本のアプリで知ったという感じです。
一応検診のたびに体重は測っていましたが、褒められる事もなければ怒られる事もなく、ただただ記録していただけです。母親学級で知り合った妊婦さんは皆10キロ以上太っていたようですが、皆あまり気にしている様子はありませんでした。
3回のエコーも、私の産婦人科では、写真は印刷されずに(ペーパーレス)USBを持参して入れてもらうというもの。1回だけサラッと3Dエコーも見せてくれました。
妊娠後期や臨月に入ったからといって、定期検診の頻度が増える事もありません。良くも悪くも、敏感になり過ぎない文化なのかもしれません。
立ち会い出産は全て丸見え
日本で出産した友人の話や海外ドラマの影響で、出産事、下半身にはシートのようなものが掛けられると思っていました。
しかし、待てど暮せど何かが掛けられる様子はない。そのうち麻酔が切れてきて痛みが増す中、出産に入りました。再び麻酔が効いてきて楽になってくると、夫アルが立ち会っている為、恥ずかしさも出てきます。しかし、とにかく血が苦手な私の最優先事項は、何かを見てしまって気分を悪くしない事。コロナ禍でマスクをつけての出産だったので、マスクを目のすぐ下まで引っ張り、何も見えないようにして目を瞑って踏ん張る事にしました。
一方立ち会っていた夫アルはというと、これ以上下がれない所まで下がっていたそうです。
友人夫婦の勇気ある旦那さんの中には、先生側に回って赤ちゃんの誕生を全部見たという強者もいます。
この話をお義母さんにしたら、「シートなんて私の時もなかったわよ!」の一言。フランス人よ、恥ずかしくないのか。もう少し、そういった配慮をしてほしいなと切実に思います。
産後、分娩台で名前聞かれる
日本は出生届を出すまでの期間が14日ですが、フランスはたった5日。
私の場合は、産後まだ分娩台にいる時に、私たちの名前や娘の名前を聞かれ、助産師さんがその場で出生届に必要な事項を記入してくれました。身分証明書なども渡したような気がします。
コロナの影響なのか、私立の産院だったからなのかわかりませんが、書類関係は全部やってもらえました。
入院期間は基本3~4日で母子同室
無痛分娩がオプションの日本では、母体の事も考えて、入院期間は基本5日程(帝王切開の場合は8日)だそうですが、無痛分娩が普通なフランスでは、母子に問題がなければ3日程で退院です。(帝王切開の場合は5日から6日)。
私の場合は、娘ちっちがおっぱいを咥えるだけで疲れて居眠り。結果体重が増えずに、新生児黄疸が進行し、光線療法をするはめになり、結局5日間入院するハメに。赤ちゃんの睡眠時間や授乳時間、排泄の回数をメモする冊子が用意されていたのですが、5日目の分は用意されておらず、自分で追加しました。
また、母子同室がオプションの日本と違って、母子同室が当たり前のフランス。初日の夜から毎時間泣いていて眠れない日々のスタートです。新生児は寝るものだと聞いていたので、何を思ったか、読み途中の小説を持ち込みましたが、初日からすぐに鞄に仕舞い込みました。
フランスらしいなと思ったのは、私の産後の傷を見にきてくれた看護師さんも、夫アルがいるのにもかかわらず、何も隠さずに「服脱いで」とどんどん処置を進めていったところです。もちろん個室なのでカーテンもありません。察した夫アルは、回れ右していましたが、もうちょっと配慮してー!
沐浴の指導はお願いしたのですが、体重の減り過ぎで、体力を奪い過ぎる沐浴は却下。おっぱいマッサージなどの指導も特になかったです。
産後の避妊に対する考え方
退院に際して、産婦人科の先生が往診に来てくれた時の一言が「避妊薬の処方箋出しますね。」でした。
産後まず考える事が避妊って、フランスらしいなと思いつつ、日本ではそういう指導は無さそうだなと思いました。
フランスで避妊といったら、主にピルです。コンドームは自費なのにピルは処方箋があれば自己負担なし(か少額)で手に入れられるからです。日本では副作用や妊娠しにくくなるといった悪いイメージがあり、ピルは避妊薬としてよりは、生理痛の緩和など、治療に使われている印象があります。
実際、フランスで初めてピルの服用を始めてみて、良かった点は、生理の周期が安定する事です。
次の生理の日がほぼ4週間後なので、プールなどの予定は立てやすかった。ただ、私の身体には合わなかったのか、元々あった肌の痒みが悪化しました。もしかしたら、フランスのピルが強すぎたのかもしれませんが、日本で服用した事がないので何とも言えません。(小柄な体型の私の体重は、こちらでは子供の体重です。)ピルの服用を辞めて、肌の痒みがくるペースが遅くなったので、もう飲まないようにしていますが、頭痛や吐き気といった症状は一切ありませんでした。
産婦人科の先生曰く、「避妊せずにすぐに次の子を作ったら、双子育児をするようなもの。2人目が欲しくても、少し身体を休めてからの方がいい。」との事です。そう言われてみれば確かに、宗教的理由(避妊・中絶をしない)がなければ、フランスで年子で子沢山って、少ないような気がします。
母子の健診
日本では、生後1ヶ月までは赤ちゃんを外出させてはいけないと指導されるみたいですが、フランスでそんな事は誰からも言われませんでした。
私たちの場合は、生後1週間で助産師さんが家に来てくれて、私の出産の傷と娘の体重をチェックしてくれました。
それから、生後2週間で小児科医のもとでの健診で、赤ちゃんの状態をチェックしてもらいました。そこで、心臓に問題があるかもしれないという事で、紹介状を書いてもらい、別日に小児心臓専門医の元に赴きました。
私の方はというと、整体と皮膚科にかかり、産後2ヶ月後に産婦人科で状態をチェックしてもらったという感じです。
日本では、赤ちゃんの1ヶ月健診の際に母親も診てもらえるようですが、フランスではそれはなく、別で助産師さんの予約を取り、私の健康状態や育児の相談にのってもらい、それとは別に、産後に産婦人科の先生にもとに行き、より専門的に診てもらいましたが、尿検査やエコーなどの検査はなかったです。(尿検査や血液検査は、また別の機関でやってもらわなければなりません。)
1つの医療機関で診察・検査・薬の処方までやってもらえる日本と異なり、フランスは医療分業制。色々な所に出向く必要があり(産婦人科、小児科、検査機関、薬局など)、本当に面倒臭いです。生後1ヶ月まで赤ちゃんを連れ歩くなと言われないのも、連れ歩かざるをえない状況だからなのかもしれません。
まとめ
右も左も分からないまま、初めての妊娠・出産をフランスで経験してみて、医療分業制の煩雑さを除いて、合理的で無駄がない印象を受けました。わざわざ産む苦しみを味わう必要がないと、無痛分娩が一般的なのも良い点です。(日本は麻酔科医の数が足りない為、無痛分娩を一般化できないそうです。)父親が育児休暇をしっかり取れるというのも付け加えておきます。(2021年7月から25日間になりました。)ただ、日本のような気遣いは期待しない方がよさそうです。
もし日本で無痛分娩の費用が嵩まず、保険料の問題がなかったら、日本で出産してみたいなと夢見つつ、すぐに駆けつけないからという理由で却下されるのだろうなと思う今日この頃です。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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