日仏 家庭環境だけでもこんなに違うの?!!!!!

(C’est une version japonaise de l’article « La situation familiale d’un français et d’une japonaise ».)

現在の夫アルノー(以下アル)と出会った時、彼の育った家庭環境の話を聞いて、かなり驚いたのを覚えています。こんなに複雑な幼少期を過ごしても、こんなに真っ直ぐ育つんだなといったような。日本以外を知らない当時の私の頭の中は、メディアから受け取った、「複雑な家庭環境=道を踏み外す」といった偏った考え方になっていました。

私たちの家庭環境

簡単に私たちの家庭環境を説明します。共に80年代生まれです。

私は、ごく一般的なサラリーマン家庭の生まれ。両親と妹とおばあちゃん(父方の)の5人家族。3世帯での生活は都会ではもう一般的ではなくなっていたかもしれませんが、それ以外は、結構ありふれた家庭環境だったように思います。

対してアルはというと、未婚の両親のもとに生まれ、両親が別れた後は、母親との二人暮らし。2週間に1回は週末を父親と父親の新しい家族と過ごし、のちに異母妹が誕生。
決してアルの家庭環境が当時のフランスで一般的だった訳ではないと思います。アルの同級生にも両親が一緒に暮らしている人もいますし、異父母兄弟のいない人もいます。しかし中には、義父とその子供と一緒に暮らしていた人や、今も両親仲良く暮らしているのに未婚の人もいたりと、家庭環境の多様性は日本とは異なるなという印象を受けました。

当時の公立の学校に通う私の周りには、両親が離婚している子こそいましたが(それでも比較的少なめ)その両親の再婚や、異父母兄弟の存在といった話題はほとんどあがりませんでした。

驚いたこと

以下が、私が驚いた4つの事です。

1、両親が結婚しなかったこと
2、別れた後も、父親と父方の祖父母が関係を解消しなかったこと
3、別れた後も、母親が父親ないし父方の家族に会うことを許したこと
4、父親の新しい家族(義母と異母妹)と良好な関係を築けたこと

非嫡出子(婚外子)

日本では内縁関係でいるメリットがない為、婚外子の割合は2006年で2,11%とかなり低い数字のようです。当然、大半の人がメリットのある結婚を選ぶ訳で、結婚しない人には結婚できない理由があるというネガテイブなイメージが内縁関係や非嫡出子にはあるように感じます。

アルの両親はというと、アルを儲け夫婦のように一緒に暮らし育児もしたにもかかわらず、結婚という選択をしませんでした。結婚適齢期といってもおかしくない30歳前後だったにもかかわらずです。(認知はしています)


日本での常識しか頭にない私には、この内縁関係貫いたアルの両親が全く理解できませんでした。

親権とステップファミリー

アルの両親は結局別れてしまいましたが、父親は息子を見捨てず、新しい家庭を持ってからも2週間に1度は週末を一緒に過ごしていました。アルの母親は、アルが父親ないし父方の祖父母に会うことを認め、2週に1度は、息子を父親の住む家に送り出していたようです。

離婚後は大半が母親の単独親権で、父親は目の前からいなくなるのが当たり前の日本社会で育った私には、これも理解しがたい異次元の世界でした。
日本の離婚後の父親はというと、ごく稀に養育費を支払い子供との関係を続ける人もいるとは思いますが、多くは、養育費を支払っているのにもかかわらず子供に会わせてもらえない、もしくは、養育費も支払わず姿をくらますのが一般的な気がします。しかし、離婚後も子供との関係を続けていた人も、新しい家庭を持った途端、新しい家族の手前、前妻との子供との関係が薄れていくと聞きます。

私が凄いなと思ったのは、皆が皆傷ついていたのにもかかわらず、誰も誰かを傷つける行動をとらなかったことです。
アルの母親は出て行ったアルの父親と息子を会わせないことも出来た。アルの父親は新しい家庭を築いた時に、息子との関係を切ることも出来た。アルにも出て行った父親を忘れ、義母や異母妹に会わないという選択肢もあった。皆が皆その時の最良であると信じた行動をとったのだと思います。
アルの母親の寛容さのおかげで、私たちの娘ちっちは、アルの父方のひいおじいちゃんとひいおばあちゃんに可愛がってもらっています。

今でこそステップファミリーという言葉も聞くようになりましたが、私が子供の頃はそのような言葉もそのような家庭環境の子も私の周りにはいませんでした。もしかしたらいたのもかもしれませんが、それをわざわざ公にする人がいなかったのかもしれません。
そもそも、テレビからの「ちょっと変わった」家庭環境に対する扱いは、どちらかといえばネガテイブ。ニュースに取り上げられる幼児虐待の多くは、親か内縁の夫(妻)によるものだったり、夜の街を彷徨う若者たちの家庭環境は決して良いものではなかったり。
メディアからの情報は極端ですが、それでもこのような事が一般的だと思っていた私は、アルの日本では珍しい家庭環境に驚き、そんな中でも両親、義理の家族とうまくいっていたという事実に多くの「なんで、どうして」が思い浮かんだのです。

多様性を受け入れて生きる

今まで、有難いことに自分には関係のなかった離婚問題。
この親の離婚にどう向き合うかという問いに対して、一番大切なことは、感情を抜きにして子供にとって最良の選択をすること、子供の意志を尊重することなのではないかと教えられました。

小さな島国日本を出て初めて、日本での常識は世界では通用しないことを実感しています。国境の無くなったヨーロッパで、多様性の国フランスで、良くも悪くも色々な経験をさせてもらっています。問題に対する答えはひとつではありません。別の可能性も考えてみて、物事を別の面から見てみるのも、問題解決のヒントになるかもしれないということを学びつつ、コチコチに凝り固まった頭をなんとか柔らかくしようと日々奮闘しています。

このブログで、それを皆さんと共有できたらなと思っています。


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