フランス語の主語(人称代名詞)

フランス語の主語(人称代名詞)は英語より少し多いです。

大きな違いはというと、英語の「you」と「they」がフランス語には複数あるということです。
また、物が「he, she, they」になるのもフランス語の特徴です。

英語と比較しながら、見ていきたいと思います。



主語(人称代名詞)の一覧

日本語フランス語英語人称
jeI1人称・単数
tuyou2人称・単数
彼 ※1 ilhe3人称・単数
彼女elleshe3人称・単数
私達 ※2nouswe1人称・複数
あなた・君達・あなた達vousyou2人称・単数/複数
彼らilsthey3人称・複数
彼女らellesthey3人称・複数


※1 「il」は非人称で英語の「it」のような使われ方もします。
  Il pleut.(雨が降る。= It rains.)

※2 話し言葉では「私達」と言いたい時に、よく「on」を使います。
  意味は「nous」と同じで、活用は「il」と同じです。
  Nous habitons ensemble. = On habite ensemble.
  (私達は一緒に住んでいます。)

フランス語の主語(人称代名詞)の特徴

  • 「il(s) : 彼(ら)」, 「elle(s) : 彼女(ら)」には「それ(ら)」という意味もあります。
    • J’ai acheté un livre. Il est grand et lourd.
      (本を1冊買いました。それ(その本)は大きくて重いです。)
    • J’ai cueilli des fleurs. Elles sentent très bon.
      (お花を摘みました。それら(お花たち)はとてもいい香りです。)
  • 英語の「you」が2種類あります。
    • 「tu : 君」と「vous : あなた・君達・あなた達」
      これから詳しく説明していきます。


「tu : 君」と「vous : あなた」の使い分け

フランス語には2種類の「you」があります。

相手との関係性によって使い分けます。

  • 「tu : 君」を使う時
    • 家族
    • 友達
    • 親しい人・よく知っている人
    • 若者同士
    • 子供に対して
  • 「vous : あなた」を使う時
    • 初対面
    • 親しくない人・よく知らない人
    • 目上の人


基本はお互いが「tu」か「vous」

  • お互いに「tu」を使う例
    • Tu vas bien?
      (元気?)
        → Oui, ça va, merci. Et toi?
         (元気だよ。そっちは?)
    • Tu peux m’aider?
      (手伝ってくれる?)
        → Oui. Mais tu peux m’attendre 5 minutes?
         (いいよ。でも5分だけ待ってくれる?)

  • お互いに「vous」を使う例
    • Vous allez bien?
      (お元気ですか?)
        → Oui, ça va, merci. Et vous?
         (元気です。お元気ですか?)
    • Vous pouvez m’aider?
      (手伝ってくれませんか?)
        → Oui. Mais vous pouvez m’attendre 5 minutes?
         (いいですよ。でも5分だけ待ってくれますか?)

例外 : 片方が「tu」を使い、もう片方が「vous」を使う時

  • 小(中)学校で
    • 先生は生徒に対して「tu」を使います。
    • 生徒は先生に対して「vous」を使います。

※ 高校や大学では、お互いに「vous」を使うようになります。

「tu」を使う関係になりたい時は

基本的に初対面では「vous」の関係で話し始めます。
(これを名詞で「vouvoiement」、動詞で「vouvoyer」と言います。)

もっと仲良くなりたいなと思ったら、こう提案してみて下さい。

こう言われることもあるかもしれません。

  • On se tutoie?
    (「tu」を使って話しません?)
  • On va se tutoyer.
    (「tu」を使って話しましょう。)

(「tu」を使う関係のことを「tutoiement」、動詞で「tutoyer」と言います。)

「vous : あなた・君達・あなた達」の使い方

  • あなた : 敬称(「vous」で呼ぶ人が単数)
    • Monsieur Dupont, vous venez ici, s’il vous plaît.
      (デュポンさん、こちらにいらして下さい。)
    • Madame Hermé, parlez-vous anglais?
      (エルメさん、英語は話せますか。)
  • 君達 : 「tu」で呼ぶ人が複数
    • Pierre, Louis et Paul, calmez-vous!
      (ピエール、ルイ、ポール、落ち着きなさい!)
    • Sophie et Marie, ne vous battez pas!
      (ソフィー、マリー、叩かない!)
  • あなた達 : 「vous」で呼ぶ人が複数
    • Monsieur Dupont et Madame Hermé, entrez.
      (デュポンさん、エルメさん、お入り下さい。)
    • Monsieur Dupont et Madame Hermé, qu’est-ce que vous buvez?
      (デュポンさん、エルメさん、何をお飲みになりますか。)

基本は「tu」は名前と「vous」は苗字と

  • 名前で呼び合う関係性の相手とは「tu」を使って会話をします。
    • Françoise, tu vas bien?
      (フランソワーズ、元気?)
        → Oui, ça va, merci. Et toi, Marie?
         (元気だよ。マリーは?)
    • Louis, tu peux m’aider?
      (ルイ、手伝ってくれる?)
        → Oui. Mais tu peux m’attendre 5 minutes?
         (いいよ。でも5分だけ待ってくれる?)
  • 苗字で呼び合う関係性の相手とは「vous」を使います。
    • Monsieur Dupont, vous allez bien?(デュポンさん、お元気ですか?)
        → Oui, ça va, merci. Et vous, madame Leclerc?(元気です。ルクレールさんもお元気ですか?)
    • Monsieur Dupont, vous pouvez m’aider?
      (デュポンさん、手伝ってくれませんか?)
        → Oui. Mais vous pouvez m’attendre 5 minutes, madame Leclerc?
         (いいですよ。でもルクレールさん、5分だけ待ってくれますか?)


フランスでは、苗字で呼ぶのは、とても改まった関係の時です。
(例 : Monsieur Suzuki, Madame Suzuki, Mademoiselle Suzuki)

以前働いていたレストランでは、皆オーナーのことを「Monsieur Paul」と呼んでいたほどです。
フランス語的には、「Monsieur」と名前を一緒に呼ぶのは間違っています。
「Monsieur」の後には苗字がくるのが正しいフランス語です。
それでも、皆がそういう呼び方をしていたのは、「Monsieur Dupont」ではとても堅いからだと思います。
敬意を込めて「Monsieur」を付け、親しみを込めて名前を呼ぶ、そんな感じでしょうか。

このように、苗字で呼ぶというのは敬意と同時に、とても距離のある関係性を示します。

中には、「Vous pouvez m’appeler Paul.」(ポールって呼んで下さい。)と名前で呼ばれることを好む人もいます。

例外 : 名前で呼ぶのに「vous」を使う時

  • 職場で

毎日顔を合わせる職場などでは、上司と部下の関係でも、名前で呼び合うことの方が多いようです。
それでも「tu」を使ってしまうと友達のような関係になってしまうので、「vous」を使います。

私の働いていたところでは、同僚だと「tu」を使う人と「vous」を使う人両方がいました。
しかし、上司にあたる人は皆「Yuka」と呼んでも「vous」を使っていました。

また、診療所などで、先生と受付の人の間でも、名前で呼び合い、「vous」を使うというパターンをよくみかけました。

  • Marie, vous allez bien?
    (マリー、お元気ですか?)
  • Sophie, vous terminez d’abord ce travail, s’il vous plaît.
    (ソフィー、まずこの仕事を終わらせて下さい。)
  • François, votre client est déjà arrivé.
    (フランソワ、あなたの顧客がもうお見えになっています。)






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