フランス語の名詞には、「男性名詞」と「女性名詞」があります。
全ての名詞が、「男性形」か「女性形」に分けられます。
日本語はもちろん、英語にもない概念なのでちょっと難しいかもしれません。
今回は、まず「名詞の性」の説明を簡単にしてみたいと思います。
そして、自然の性に従う名詞(父親は男性名詞 : un père で、母親は女性名詞 : une mère)と、男女同形の名詞(旅行者 : un/ une touriste)をご紹介していきます。
よかったら、最後までお付き合いください。
目次 (Table des matières)
フランス語の名詞には性別がある?!
フランス語の名詞は、すべてが「男性形」か「女性形」です。
人だけでなく、物にまで性別があります。
例えば、日本は男性名詞「le Japon」、フランスは女性名詞「la France」です。
(「le」は男性形の定冠詞、「la」は女性形の定冠詞です。)
私も、フランス語を勉強し始めた時は、中々理解できず苦労しました。
名詞の意味と性別が一致しないからです。
(ネクタイは女性名詞「une cravatte」で、口紅は男性名詞「un rouge à lèvre」)
「名詞の性」と単語の意味は関係ない
後記しますが、生物は自然の性に従うことが多いです。(おんどりは男性名詞 un coq、めんどりは女性名詞 une poule)
しかし、モノである無生物にはこの規則性が当てはまりません。
そこで、単語の意味と名詞の性が合わないものもたくさんでてきます。
それが、上記した、ネクタイや口紅です。他にも、男性の方が好きな人の多い車は女性名詞(une voiture)で、女性の方がよく使う鞄(un sac)やハンドバック(un sac à main)は男性名詞です。
実は「名詞の性」があるのはフランス語だけではない
英語が第一外国語の私たちからすると、英語以外のヨーロッパの言葉に触れるとびっくりするのがこの「名詞の性」だと思います。
これは、「インド=ヨーロッパ語」をルーツとする言語に共通するものだそうです。もともとは、「中性形」もあり、名詞の性は、3つあったそうです。それを引き継ぐのが、ゲルマン語族のドイツ語で、今でもドイツ語の名詞は「男性形」、「女性形」、「中性形」の3つがあります。
しかし、ラテン語がルーツのフランス語、イタリア語、スペイン語やポルトガル語などからは「中性形」がなくなり、「男性形」と「女性形」だけになりました。
そう考えると、ドイツ語よりは簡単な気がしてきませんか。
覚え方
名詞には不定冠詞をつけて一緒に覚えてしまうことをお勧めします。
- 男性名詞 → un
- 女性名詞 → une
- 複数形(男女)→ des
(私は、複数形の名詞には横に「男」か「女」や記号を書いて覚えています。)
定冠詞と一緒に覚えると、母音で始まる単語の時、「le」なのか「la」なのかわからなくなってしまいます。
(学校 : l’école → une école, アパートメント : l’appartement → un appartement, etc)
辞書などには男性形は「n.m.」や「m」女性形は「n.f.」や「f」と記載されていると思います。
(男性名詞 : un nom masculin, 女性名詞 : un nom féminin)
自然の性に従う名詞
生物の自然の性に従う名詞の例です。
名詞の性と意味が一致するので覚えやすいと思います。
男性名詞 | 女性名詞 | ||
父 | un père | une mère | 母 |
男の子 | un garçon | une fille | 女の子 |
学生 | un étudiant | une étudiante | 学生 |
王子 | un prince | une princesse | 王女 |
俳優 | un acteur | une actrice | 女優 |
歌手 | un chanteur | une chanteuse | 歌手 |
音楽家 | un musicien | une musicienne | 音楽家 |
おんどり | un coq | une poule | めんどり |
男女同形
男女同形の名詞は、男性形も女性形も同じ単語です。
冠詞で「男性形」か「女性形」かを判断します。
男性形 | 女性形 | |
un concierge | 管理人 | une concierge |
un touriste | 旅行者 | une touriste |
un enfant | 子ども | une enfant |
un élève | 生徒 | une élève |
男女同形に、教師・教授(高校以上の先生の呼び方)の「professeur」も加えておきます。
この単語は基本的には男性名詞です。(un professeur)
しかし最近では、女性の教師や教授を指す時に、冠詞を変えて、「une professeur」や「la professeur」と言うようになってきています。でもこの言い方は、少し前まではくだけた言い方とされ、正式には認められていませんでした。
時代は変わり、以前は男性しか就けなかった職業にも女性が就くようになってきました。そして、呼び方にも変化が現れ始めています。言語も日常生活に合わせて変化しているというのは面白いですね。
最後までお読みくだり、ありがとうございました。
クリックしていただけると、とても励みになります。